「殴られるわけではない。だからうちはDVじゃない」と思っていませんか?
それDVです!
これはサイレントモラハラ?「空気の暴力」と呼ばれる理由とは
「サイレントモラハラ」は、「空気の暴力」です。
モラハラ、と一般に認識されているものの中でも最も卑劣なDVです。
「空気の暴力」または「静かなDV」と呼ばれるのは、そこに漂う『空気感』、または『雰囲気』だから。
そしてそれが体に見える傷をつけるわけではないけれど、確実に相手にダメージを与え苦しめるからです。
ですが、見えないだけで心はズタズタ。自尊心はボロボロ。
もともとの自分がどんな人間だったのかわからなくなるほどに、痛めつけられ傷つくのです。
でも外からは見えないのです。誰にも。
誰にも気づかれることなく、被害者は支配され、がんじがらめに囚われ、逃げることもできない(と思っている)。
被害者は「モラハラ」という精神的な暴力を受け、さらにそれを誰かに話したときに、「誰にも信じてもらえない」、という二次被害に遭うのです。
これが「サイレントモラハラ」の恐ろしさです。
サイレントモラハラを理解するには、「モラハラとは何か」ということを理解しておく必要があります。
モラハラ(モラルハラスメント)の言葉がカバーする範囲は広い。
いわゆる「いじめ」だとわたしは考えています。
「いじめ」とひと言で言っても、いろいろなものがあります。
からかいや暴力もあれば、みんなで無視したり仲間はずれにしたり。
それと同じように「モラハラ」にも「ハード」なものと「ソフト」もしくは「サイレント」と呼ばれるものがあるのです。
一見それとはわからないけれど、でも確実に追い詰めてくるモラハラです。
”モラハラ”という言葉が一般的になった程にはたぶん、大方の人はモラハラの恐ろしさをわかっていないと思う。
旦那が嫌い、旦那が怖い、旦那が憎い・・・・。
そう話すモラハラ被害者の妻は多いです。
でもその強い拒否反応を示すほどに酷いDVなのにわかってもらえない。
夫が怖い、夫が嫌いだと思っていても具体的に自分が受けた夫からの仕打ちについてうまく人に説明することができない。
モラハラの証拠を集めるために「録音しておくように」なんて言われますよね。
でもね、サイレントモラはだんまりなんです。
「雰囲気」なんです。
あくまでも空気感。
「オレはお前に怒っているんだ。わかってるよな?なんでオレが怒っているか」
「なぜ怒ってるか」を言わない。(そもそも理由なんてないことすらあるんですが)
ただ無視して口をきかず、「察しろ」という雰囲気だけでは録音したとてなんの証拠にもなりません。
でも、被害者はそれだけで震え上がる。
他のことが何も手につかないぐらいに。
モラハラ気質の人と最悪の相性なのは「相手の気持ちを敏感に感じ取れる」人。
いつも機嫌がよくて一緒にいる相手を不快にさせまいという気配りのできる人。
モラハラについてのサイトや本を読んでもまだ自分の夫が「モラハラかどうかわからない」と思っている人が多いのです。
だから悩む。
でもあなたが経験しているそれは「精神的なDV」です。
夫はサイレントモラかもしれない?特徴をチェック!
モラハラにあたる問題行動はいろいろあるけれど、そのうちいわゆる発達障害や、人格障害が疑われるものは、だめだと思ったら早く逃げ出すしかない。
どんなタイプのモラハラにしても心がやられるのだけれど、このタイプのモラハラは、先天的な脳のバグによるものだから共感を求めること自体無理なのです。
でもそれと同じか、それ以上に厄介なのかもしれないのがサイレントモラ。
ほとんどの人は、いたって普通の人です。
会社では有能な会社員。なんなら、浮気しない、ギャンブルもしない、パチンコ(含むかけ事も)しない、タバコも吸わない。周りから見れば、すごい「よくできた旦那さん!」
そんな人が家の中では全くの別人になります。
なじられたり、けなされたりも辛いものですが、まだ夫がなにについて不機嫌であるのかがわかります。
でもサイレントモラはそれすらわからない。
妻は夫が何を怒っているのかわからず、自分が何をしたからなのかと、ずっと気になって落ち着かない。
落ち着いてやればできるのにお皿を落っことしたり魚を焦がしたり。
「はあー・・・・」
夫のため息が聞こえよがしに。
妻には夫のため息が「あーあ、オマエってほんとに何やってもまともにできねーのな」と変換されて聞こえるのです。
それでまた「自分はダメだ」と思うのです。
悪循環ですね。
こうしてモラハラ夫は妻に無言のダメ出しを続け、妻はますます「自分はダメなんだ」という呪縛に陥るのです。
しかもモラハラの証拠はなかなか手に入らず誰かに相談することはできても「裁判となると離婚までするのは難しいかも」といわれるのです。
これらのモラハラ的行動は発達障害などの特性によって無自覚にやっていることもある。
サイコパスと呼ばれるほどの人格障害を持っていたりする人にもこれらの行動はある。
彼らのモラハラは特性ゆえのものかもしれない。(とはいえ、これも当事者の妻にとってはその一方通行感は耐えられないけれど)
けれど「サイレントモラ」の場合ほとんどの人がそういう問題を抱えているわけではないのです。
彼らは自分がしていることがモラハラだとは思っていません。
なんならモラハラ夫たちは自分は「正しく」「妻に対して辛抱強く」「寛大で」「むしろ妻の至らなさの被害を受けている」とさえ思っていることがあります。
お説教が始まると、言ってることはド正論だったりします。
人との関係を作るのが下手なだけ?
妻に母親の役割を求めて甘えている?
いろいろ言われますが、どれもピンときません。
被害者が抱く罪悪感と削られる自己肯定感
夫が異常なのではなく、もしかしたら、自分がおかしいのではないか?
夫は一生懸命にやってくれているのに、夫のことを愛せない自分こそ、非人道的なのではないかしら。
そんな「罪悪感」と日に日に削られていく自己肯定感。
夫は普通に成長し、社会人として働き有能な社員として会社で働いている。
周囲の評判もそこそこいい。
それだけに、妻がそのモラハラから受けた苦しみを訴えても誰もそれをわかってくれない。
あまりにだれも信じてくれないものだから妻もだんだんわからなくなってくるのです。
「モラハラ」という言葉を知ってから自分がされていたことは異常なことなのだと気づき、そこから逃れようといろいろやってみるけれどうまくいかない。
モラハラかもしれない、と思いながら>逃げられない。
「サイレントモラ」はたまに怒鳴るかもしれない。
「サイレントモラ」はたまに暴力的だと感じるほどの怒りを爆発させて、モノを投げつけることがある。
でも、「いつもではないんです」。
お話を伺った方からよく出る言葉です。
サイレントモラは不意に優しい夫に戻ったりすることもある。
「やり直したい」と言ったりもする。
妻が本気で離婚を考えていることを知って、自分も悪かったという。
本気でそう思っているかもしれないと感じる…。
でも、たぶんそれは一時的なもので終わる。
そしてまた同じことが繰り返されるのです。
サイレントモラハラの被害を自覚しにくいのはなぜか
加害者はまったく無自覚です。
無自覚で、ナチュラルにやってるんです。
でも、一応それが良くないことだとは分かってるんです。
妻を傷つけたかなと思ってはいる。
だから時々優しいことを言ってみたりプレゼントを買ってきたりして妻のご機嫌を取る。
でもそのうちまた、あなたを傷つけにかかります。
でも定期的にモラが和らぎ、平和な時が交互に訪れるため、被害者は「もう少しがんばれるかも」と思ってしまうのです。
気が付いたころには自分も年を取り、もういまさら離婚なんて無理・・と思ってしまう。
逃げるタイミングを失ってしまうので、サイレントモラハラは恐ろしい。
サイレントモラハラから逃げることを考えたら
モラハラの被害者が自分がDVを受けているということに気がついていても、逃げることを難しくしているものがあります。
それは「ストックホルムシンドローム」と呼ばれています。
「誘拐事件や監禁事件などの犯罪被害者についての臨床において、被害者が生存戦略として犯人との間に心理的なつながりを築くこと」と定義されています。
それほど長い時間、夫に虐げられ酷に扱われてきたのにもかかわらずなぜか夫を心から憎めない。
憎めないどころか「夫にもいいところがある」とかばってしまう。
そして自分はまた傷ついてボロボロになっていく。
それでも、夫から離れるための行動をとることもできない。
そういうひとはそうやって自分の心を守っているのかもしれません。
自分が虐待されていること愛してくれるはずの人が愛してくれるどころか自分を傷つけることを認めたくない、と思うから。
サイレントモラハラについてのまとめ
モラハラにはいくつかのタイプがあり多くの女性たちが直面するのは「サイレントモラ」もしくは「ソフトモラ」と呼ばれるものです。
ハードモラももちろん心をやられますがサイレントモラはじわじわと心を削り長い時間をかけて逃げ出す力を奪うのです。
たとえ気が付いたとしても時々差し出される「飴」によって懐柔され、自らまたモラハラな日々に戻っていく人もいます。
「うちの旦那ってもしかしてモラなの?」
そんな小さな違和感かもしれない。
「うちはそんなにひどいモラハラではない。モラハラかもしれないけど軽いのかもしれない」
軽くても重くても、怒鳴るモラでもサイレントモラでも、モラハラはモラハラです。
そしてモラハラはDVです。
あなたがそれを辛いなと思っているならたぶん気のせいではありません。
「他のおうちの旦那さんほどひどくはない。自分が我慢すればなんとか暮らしていける」
本当にそうならいいのです。
でも本当にそう思っているのなら「モラハラ」という言葉で検索しこのブログを読んでいないのではありませんか?
「辛い」ならそう言っていいんです。
辛いなら、離婚しちゃえ!なんて誰も言いませんから。
モラと仲良くはやっていけないけどなんとか共同生活が営めるぐらいにはなれます。
実際わたしはモラ夫と20年間一緒に暮らしてきましたから。
「うちのダンナはモラなのかな。誰かに相談してみたい」と思われた方はこちらの記事もどうぞ。
わたしは専門家ではありませんが、自分の経験から夫からのモラハラを受けて辛い思いをしている人の気持ちはわかります。
もし誰にもその気持ちを話せないと思うなら、わたしに話してみませんか?
ココナラでお話を聞いています。
よろしければどうぞ。
お話を聞いて、専門のカウンセラーさんにつながる方がいいと思えばそちらをご紹介することもできます。
また、モラハラ被害者のカウンセリングを多く行い、たくさんのモラハラ被害者を助けてこられたカウンセラーの谷本恵美さんの本も紹介しておきます。
わたしもこの本を読んで、自分の中でぼんやりしていたものをはっきりとした言葉として自覚することができました。
紙の本は夫の目につくところには置いておきにくいと思うなら、kindleで電子書籍としても読むことができます。
ぜひ一度は読んでおかれることをお薦めします。
コメント