(身バレを防ぐために所々でお話の内容は変えています。)
家庭でのモラハラ ~Mさんの例~
Mさんの夫は「できる」タイプモラ
夫は典型的なワンマン経営者。
バリバリ仕事をこなす「熱い」タイプの人。
従業員に対しても面倒見がよく、なにかと個人的な相談に乗ったりもすることがありどちらかというと慕われている。
子供の教育に対しても熱心です。
いま流行りのスポーツを小さい頃から習わせており、子供が望めばその道で成功できるよう資金の出し惜しみはしないそうです。
ただし、自分で事業を起こし成功してきた人にありがちなのかもしれませんが自分がこうだと思ったことに関しては全く譲りません。
Mさんは夫が子供たちに対しても厳しすぎるように思え、子供たちも父親の厳しさに疲れているようです。
でも、一方で自分の欲しいものを買ってくれるため嫌いではないようで、Mさんは子供たちから父親と経済的な安定を奪うことにならないかと思い、家を出ることにためらいを感じてます。
Mさんの夫は社会的に成功している人、優秀な人にありがちなモラハラパーソナリティです。
自分が苦労して成し遂げてきたことに対し自己肯定感とプライドがとても高く、自信があります。
目に見える数字で成果を判断しがちです。そのために家で専業主婦として「外貨」を得ていない妻に対しての評価は低い一方で、「妻を働かせなくても裕福」であるというイメージ先行なのか、妻が外で働くのを嫌がる傾向があります。
Mさんも、外で働くことを禁止され、これといったスキルもないままに結婚したために貯金もままならない状態です。
子供たちを全員連れて出ていくことを希望していますが、5人もの子供を抱えて生きていくことは容易ではない。
夫が子供たちをかいわがっており、子供たちにとっても有利な環境で習い事が続けられる、と子供たちを連れていくか置いていくを悩んでおられました。
すでにご両親はなくなっておられるため実家に帰るという選択肢もなく、子供たちの将来のことを考えるとご自分が親権を持つのがよいのかどうかと悩んでおられました。
選択肢は二つ
もうどこかで思いきってしまうしかないと思います。道は二つです。
・夫と同じくらいの経済力を身につける。もしくは子供たちがある程度大きくなるまで夫の元に留まる。
確かに親権もしくは監護権を取ることができ、夫から養育費の支払いを受けることができれば生活はそれほどひっ迫しないかもしれません。
けれどそれは順当に話し合いができ、夫がすんなりMさんの求める額の養育費を支払うことに応じてくれれば、です。
協議離婚が成立するのならばそもそも逃げることを考えてはおられないでしょう。
協議離婚ができなければ調停へ、それでだめならさらに訴訟となることもありえます。
そうなると親権を決めること、養育費の支払いについての取り決めがされて実際にそれが支払われるまで、いったいどれくらい時間がかかるか見当もつきません。
そのあいだ5人もの子供を抱えて一人で生計を立てて行くのは、たぶんとっても厳しい。
その場合、現実問題として子供たちに思う存分好きなことを好きなだけ、費用も何も気にせずにやらせてあげる生活はあきらめざるを得ないかもしれないですよね。
子供たちにもそこをよく理解させておかないと、子供たちの中に「親の都合で自分のやりたいことをあきらめさせられた」という気持ちが残り、あとあとで問題になるかもしれません。
そうならないようにするためにはなにができるでしょう。
・弁護士と契約し夫との交渉をしてもらう
・夫と同じぐらい稼げるようになるか、子供たちがある程度大きくなるまで夫の元に留まる
子供たちの親権について
親権は今の日本では、離婚するときには必ず決めなければなりません。
基本的には子供の福祉を第一に考えて決められるものです。
かならずしも母親が貧しいから親権がとれないということはありません。
また、夫が親権を取ったとしても監護権、という形で実質上の親権を取ることもできるようです。
夫と親権についての話し合いをすることが難しいならば、親権は夫に渡し、その代わり子供たちの生活費(養育費)+習い事の費用を出してもらうよう交渉することもできるかもしれません。
モラハラ夫と話すことに恐怖感があり、自分でやるのは難しいと思うなら弁護士を立てて交渉してもらう方法もあります。
自分でやれば費用も掛かりません。
ですが精神的にも時間的にもタフでないとできない。
モラハラ夫と、それもたぶん最も難しく、神経を使うやり取りになるからです。
それを考えるだけでしんどいですね。
そのため、交渉のために弁護士を立てるという方も多いようです。
弁護士を立てるなら確かに費用はかなり高額ですし、法テラスを使ったとしてもその弁護士費用を少しずつ返済していかなければならないため、長期にわたって家計を圧迫するかもしれません。
それでもモラハラ夫と直接交渉するその心理的疲労を軽減できると思えば、安いという人もいます。
弁護士を探す方法については下の記事でも取り上げてみました。参考になれば。
契約までしなくとも相談してみるだけでもかなりいろいろな情報を得ることができます。
別居について
Mさんはすでに弁護士に相談をしておられました。
弁護士からはモラハラを理由に離婚することは難しく、どうしてもというならばまず別居するようにとアドバイスを受けたそうです。
離婚なんて紙切れ一枚出せばいいことのように思いますが、そうではありません。
日本で離婚が認められる条件
1.協議離婚または調停が成立していること
2.婚姻継続が難しい理由が相手にあると認められるとき
3.すでに夫婦の関係が完全に破綻しているとみなされるとき
「モラハラ」という目に見えず、当事者以外の人には見えにくいDVの場合”2”の
「婚姻継続が難しい理由が相手にあると認められる」
という理由での離婚が難しいため、必然的に”1”か”3”を選ぶことになります。
別居では使えない!公的支援
3の「すでに婚姻関係は破綻している」という実績を作るために別居を勧められるのですが、その場合最短でも2年。
が、問題は「別居期間」の間は公的な支援制度を使うことができないということです。
離婚した家庭なら使える「母子扶養手当」「ひとり親医療制度」といった公的支援はとてもありがたい制度ですが、これが別居期間には使えないのです。
そうなるとこの2年間、なんとしてでも踏ん張って一人で必要な生活費を得ていかなければなりません。
すんなり婚姻費用を支払ってくれる夫ならばまだしも、相手はモラです。
期待は捨てなければなりません。
そうなると、子供たちの口を養うだけで精一杯、スポーツ選手としての将来を自分がつぶしてしまうのではないかとMさんはとても心配しておられました。
自分で決める、自分で選ぶ
子供の夢を取るのか、モラからの解放を取るのか。
日本ではまだまだ夫婦共同での子供の養育を前提としているために片親で、しかも女性が一人で子供を養育してくことになった場合、経済的にも精神的にもサポートが少なく厳しいと言わざるを得ません。
ならば。悩んで悩んで自分で選んだならば離婚するにしてもしないにしてもいいのと思うのです。
どっちにしても厳しい。あとはもう、後ろを振り返らないことです。
「あの時こっちにしていたらよかったのかも」なんて考えずに目の前にある道を行くだけです。
モラハラを受けることはとてもつらいです。
「自分さえ我慢していれば」と思っているうちに精神的な傷はどんどん深まり、気が付いたころには心身ともに痛手が大きすぎてすでに動けなくなっているという方もおられます。
そうなる前に「自分はどうしたいのか」を見極め準備を進めておくことをお薦めします。
「子供の生活を守るため」「子供の夢のために」という明確な目標があって結婚生活を継続する
ことを選んだのなら、それはそれでいいんです。
その時点であなたは「自分で決めることができる」主体性を持っているということだからです。
今の日本で、子供を連れて離婚するというのは簡単なことではありません。
両親がそろっていても子供を育て教育していくことには、莫大な費用がかかるのが今の日本です。
一人親ならましておや、です。
でも、それでも両親が揃っていることよりも厳しくとも一人で育てていく方がずっといい、ということも実際にあります。
子供たちにとって何が一番いいことなのかを考えるのは必要ですが、それは後になって子供たちが出せばいい答えでもあります。
いまはMさんが自分にとって最善と思う道を選ぶことができるように応援していきたいと思いました。
▪Mさんからのレビュー
この度はありがとうございました。
多くの情報提供と、1週間という長い期間対応して下さり、良心的な料金設定で、知りたいことをたくさん聞くことができました。ご自身の経験だけではなく、関わる多くの方のパターンなども交えて教えて下さるのでとても参考になります。
実際に経験がない方からのアドバイスというのはズレた考え方も多く、なぐさめにすらならないことが多いと思いますが、かなこ先生は本当に気持ちをわかって下さるので強い味方です。
困っている方の助けになればという姿勢が伝わってきます。まるで迷える子羊たちのお母さんの様な存在です。この先も、何かあればいつでも相談できるんだという大きな安心感を与えて下さります。誰に相談しようかどうか迷っている方は、かなこ先生をおすすめ致します。
このご縁に感謝致します。☆*:.。. o(≧▽≦)o .。.:*☆
こちらこそありがとうございます。
コメント