美白やダイエットについて関心がある方は、エラグ酸という成分を聞いたことがあるかもしれません。
「エラグ酸が配合されている化粧品を使えば、シミ対策になるの?」
「ダイエットに効果的ということだけれど、どんなメカニズムで身体に変化が現れるんだろう?」
というような疑問を抱かれたのではないでしょうか。
エラグ酸はポリフェノールの一種で、強い抗酸化作用を持つ成分です。19世紀に発見されて以来、様々な効用があることが確認されていました。
近年ではダイエットにおける効果が認められたことで注目を集めています。
この記事ではエラグ酸の効果や注意点、作用について説明し、エラグ酸が健康面と美容面においてどのような影響を及ぼすのか明らかにしていきます。
エラグ酸とは
はじめに、エラグ酸とはどのような成分なのか、見ていきましょう。
エラグ酸は抗酸化物質であるポリフェノールの一種です。ザクロやベリー類、ナッツ類に多く含まれています。
ポリフェノールは植物の苦味や色素の成分であり、ほとんどすべての植物に存在します。
強い抗酸化作用を持つことが特徴で、人体で生成された活性酸素を除去する働きがあります。
活性酸素は人体に取り込まれる酸素のうち、数パーセントを占める、通常よりも活性化された酸素です。
増えすぎると人体の正常な細胞を攻撃してしまい、生活習慣病や老化、動脈硬化に加え、様々な疾患を引き起こすと言われています。
エラグ酸は、19世紀のフランスの化学者、アンリ・ブラコニーによって発見されました。日本では、1996年に医薬部外品の美白有効成分として、厚生労働省に認可されています。
2003年には食品添加物として厚生労働省に認められ、食品としての安全性も確認されました。
エラグ酸に期待できる効果
続いて、エラグ酸に期待できる効果について解説していきます。
エラグ酸は、健康面と美容面において様々な効果をもたらします。
そのため、化粧品やサプリメント、食品添加物など多方面にわたって活用されています。
具体的には、以下のような効果が得られます。
脂肪を減らす効果については、次の「エラグ酸のダイエットにおける効果」の項目で解説します。
それでは順番に見ていきましょう。
老化をゆるやかに
老化は、加齢やストレス、活性酸素による細胞の損傷などによって進んでいきます。
しかし、その老化のスピードを抑える働きを持つ、サーチュイン遺伝子という遺伝子が存在します。
老化を遅らせるため、長寿遺伝子とも呼ばれています。
サーチュイン遺伝子を活性化することで、傷ついたDNAが修復されて細胞が再生します。
エラグ酸は、このサーチュイン遺伝子を活性化させる作用を持つのです。
また、エラグ酸の抗酸化作用も老化を緩やかにする働きをします。
不飽和脂肪酸が活性酸素と結びつき、血液中に過酸化脂質(老化を促進させる)が増加すると、ガンをはじめとする様々な疾患を引き起こす有害な物質が生成されます。
エラグ酸は不飽和脂肪酸が酸化するのを防いでくれるのです。
そのため、エラグ酸には抗ガン作用があるともいわれています。
2型糖尿病を予防する効果
2型糖尿病とは、インスリンが正常に働かない、いわゆる「インスリンの作用不足」によって血液中のブドウ糖(血糖)が増加する病気です。
インスリンとはすい臓から分泌されるホルモンで、血糖値を一定に保つ働きをします。
「インスリン作用不足」には、二つの原因が挙げられます。
「インスリン分泌低下」と「インスリン抵抗性」です。
「インスリン分泌低下」とは、すい臓の機能が弱まることによって、インスリンの分泌量が低下することです。
「インスリン抵抗性」は、インスリンの分泌量は十分であるものの、標的細胞のインスリンに対する感受性が低下してしまっているため、効きが悪くなっている状態を言います。
「インスリン抵抗性」を引き起こす要因の一つとして挙げられるのが、レジスチンというホルモンです。
エラグ酸は、このレジスチンの分泌を抑制する作用を持ちます。
結果として、エラグ酸は血糖値を一定に保つのを助けます。
美白効果
肌のシミやくすみ、色素沈着は、メラニン色素が過剰に生成されることによって起こります。
メラニン色素は、肌の表皮の基底層に存在するメラノサイト(色素細胞・メラニン細胞)で生成されます。
紫外線などが原因となり、肌の表面に活性酸素が発生すると、メラノサイトが刺激を受けます。
すると、チロシナーゼという酵素が活性化し、メラニンが生成されるのです。
エラグ酸には、チロシナーゼの活性化を阻害する作用があるため、美白効果が期待できます。
エラグ酸のダイエットにおける効果
美白効果で有名だったエラグ酸ですが、近年ではダイエットにおいても効果があることがわかり、注目を集めています。
ダイエットにおける効果を解説する前に、脂肪細胞と肥満の仕組みについて見ていきましょう。
脂肪細胞と肥満の仕組み
中性脂肪は人間の活動に使うエネルギー源です。
しかし、運動不足や加齢などによってエネルギーの消費量が減少すると、使われることなく脂肪細胞に蓄えられます。
この中性脂肪によって脂肪細胞が肥大化することが肥満に繋がります。
脂肪細胞は、アディポサイトカインと称される様々な生理活性物質を分泌しています。
そのうち、特に肥満に関わってくるアディポサイトカインが、レプチンとアディポネクチンです。
レプチンは主に二つの作用を持ちます。一つは、中性脂肪を分解してエネルギー源に変える作用です。
もう一つは、脳の視床下部にある満腹中枢を刺激して食欲を抑制する作用です。
アディポネクチンは、レプチンの働きを活性化させる作用を持ちます。
しかし、脂肪細胞は肥大化すると、アディポネクチンの分泌量が減少します。
そうするとレプチンが脳にうまく作用しなくなり、結果として脂肪細胞が溜め込まれてしまいます。
この問題を解決してくれるのがエラグ酸です。エラグ酸はアディポネクチンの分泌量を2.6倍に増やすことが研究で判明しています。
さらにエラグ酸は、次のような効果をもたらします。
順番に見ていきましょう。
脂肪細胞の増大抑制
エラグ酸は、脂肪細胞の肥大化及び分化に必須の因子であるPPARyの発現を抑制する作用を持ちます。
そのため、脂肪細胞を正常化し、アディポサイトカインの分泌を適切な状態に保つ効果があると言えます。
食欲正常化と体重管理
脂肪細胞から産生されるC-リアクティブプロテイン(CRP)が、レプチンと結合して複合体を作ると、レプチン抵抗性が生じます。
すると、レプチンは満腹中枢に作用しにくくなってしまいます。
エラグ酸を摂取することでCーリアクティブプロテイン(CRP)は低下し、複合体の形成が抑制されます。
レプチンの働きが正常に保たれるようになることで満腹中枢が刺激され、食べ過ぎを防ぐことが可能です。
抗メタボリックシンドローム
アディポネクチンには、レプチンを活性化させる作用に加えて、複数の作用を持ちます。
中性脂肪を燃焼させる作用、インスリンの働きを促進する作用、血管拡張作用などです。
エラグ酸はアディポネクチンの量を増加させるため、これらの作用を強めてくれます。
結果として、脂肪の減少のみならず、糖尿病や高血圧、動脈硬化の改善をサポートします。
血糖分を中性脂肪に変換する酵素を阻害
脂肪細胞内で血糖分を中性脂肪に変換し、蓄積させる作用を持つ酵素のことを、グリセロール-3-リン酸脱水素酵素(GPDH)と言います。
エラグ酸は、この酵素を阻害するため、中性脂肪が生成されにくくなる効果が期待できます。
エラグ酸に加えてブラックジンジャー、アカトウガラシ配合。脂肪の減少を強力にサポートします。
300mg×60粒(2粒/日・30日分)
エラグ酸のサプリメントにおける注意点
最後に、エラグ酸のサプリメントについての注意点を解説します。
エラグ酸のダイエット効果の対象者
エラグ酸はダイエットに効果的な成分であるため、エラグ酸配合のダイエットサプリメントは数多く販売されています。
しかし、そのほとんどのサプリメントが、肥満気味(BMI25以上30未満)の方を対象にしたものです。
エラグ酸のダイエット効果が研究で認められているのは、肥満気味の方たちに限られているからです。
普通体重の方たちは、基本的にエラグ酸の効果が望めないので、他の方法でダイエットをすることが良いでしょう。
サプリメントの摂取に注意が必要な方
妊娠している方及び妊娠を計画している方、疾病に罹患している方、未成年の方は、エラグ酸のサプリメントの対象者になっていない場合があります。
摂取する際には注意書きをよく読み、摂取を希望する場合にはかかりつけの医師に相談しましょう。
まとめ
エラグ酸は、強い抗酸化作用を持つポリフェノールの一種です。ベリー類、ナッツ類などの食品に多く含まれていますが、サプリメントで摂取することも可能です。
糖尿病をはじめとする疾患の予防や改善サポートに関する効果の他、美白効果を持つことで知られていた成分でした。
近年では、ダイエットにおける効果が注目され、エラグ酸配合のダイエットサプリメントが数多く販売されています。
エラグ酸のサプリメントを摂取する際には、注意書きをよく読み、サプリメントの対象者に該当するのかしっかりと確認することが重要です。
健康と美容のためには、栄養バランスの高い食事と適度な運動が欠かせません。その上でエラグ酸を日々の生活に取り入れ、更なる向上を目指しましょう。
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