モラハラとアルコール中毒に共通点がある?
モラハラと被害者の関係は依存症患者とその家族によくみられる共通の関係があります。
「共依存」です。
「共依存」てなに?「依存症」とどう違う?
「依存症」というのは「あること」をすると、その「結果がまずいことになるとわかっているのにやめられない」という精神疾患の一つです。では共依存とは?
体に悪いことがわかっているのにタバコがやめられない。
飲んだら記憶がなくなったりお金をなくしたり、もめ事を起こしたり、命すら危うくなるようなことになるのにお酒がやめられない。
モラハラをする人はモラハラをしたら妻を悲しませること、妻の気持ちが自分から離れていくことがわかっているのにやめられない。
モラハラを受けている人たちは時に、その状態を辛いと思うのに逃げ出せない。
それはもしかしたら「共依存症」かも。
モラハラとアルコール依存症の家族は共依存の問題を抱えている
モラハラとアルコール依存症?
何の関係があるのかって思いますか?
「共依存」とは
共依存(Co-Dependency)とは、直訳すれば「共に依存すること」です。
もともとは夫のアルコール依存症に苦しむ妻たちを援助する人たちが使い始めた言葉だと言われています。
アルコール依存症を克服しようとする人のうち、うまくいかなかったケースで周りにかいがいしく世話を焼く妻がいたことからその存在が指摘されるようになりました。
アルコール依存症の人はアルコールに依存するとともに、妻に依存しています。
共依存の妻は、依存症の夫がどんなに迷惑をかけても許し、後始末をし、許してしまう。
アルコール依存症の人を援助する人たちは、家族の存在が依存症患者の回復の邪魔になっていることを指摘しました。
アルコール依存症患者はアルコールに依存し、アルコール依存症患者の妻は夫の尻拭いをすることに生きがいを見出す。
自分のしていることが夫の回復の妨げになるとわかっているのに、です。
妻は自分がいなければ夫はだめになってしまうと思い込み、自分は頼りにされているという気持ちに依存している。
アルコール依存症患者はアルコールと妻に依存し、その妻はアルコール依存症の夫の世話をし、夫の犠牲になっている自分の姿に依存する。
「わたしがいなければこの人はだめになってしまう」
それは共依存かもしれません。
モラハラ夫との共依存に陥っている夫と妻の特徴
相手に尽くしすぎる
アルコール依存症の夫を持つ妻が共依存に陥っている場合、妻は夫のお酒を飲んで失敗したことの尻拭いをしようとします。
散らかし、汚した部屋を片付け、迷惑をかけた人たちに謝って回ります。
モラハラの共依存に陥っている人も同じです。
夫は酷い言葉で妻を傷つけ、けなしたり暴言を吐きます。
ところが妻は夫が怒鳴っても脅しても
「自分にも悪いところがあった。
夫を怒らせたのはわたしのせいだから仕方ない」
と、夫ではなく自分を責めます。
自己犠牲的である
自己犠牲的であるのは悪いことではありません。
「自分のため」よりも周りにいる人を優先する人は愛されます。
けれど、ことモラハラに関して言えばこれは逆効果です。
モラハラ被害者の妻は自分がどんなにつらい思いをしていても、夫と子供たちのために耐え「自分さえ我慢しさえすれば」と考えます。
モラハラをしている夫はそんな妻を見て自分のしていることが間違いだということに気が付かないのです。
いつまでも問題は解決されず、夫のモラハラは続きます。
エスカレートする
モラハラをする人は妻に甘え、どんなに自分が不機嫌になっても妻はそれを察し、言うことを聞いてくれると思っています。
それはだんだん、支配者と被支配者の関係に変わります。
「お前は何の役にも立たない」
「お前が社会に出て行ったところでなにもできない」
モラハラ夫はそう言い続け、妻は本当に自分は何もできない価値のない人間だと思い込むようになります。
完全なマインドコントロールです。
妻はこうしてモラハラ夫と何年も暮らしていくうちに、夫がいなければ自分は生きていくことすらできないのだと思うようになります。
いざモラハラに気が付いて夫と離婚し家を出たいと思うようになっても精神的、経済的に夫に依存しているためそれを難しく思うのです。
束縛する
共依存関係が進むと、束縛するようになります。
妻がどこへ行っているのか、どんな友達がいるのか、何時に帰ってくるのか、はては妻の着る服や好みにまで口を出すようになります。
お金の使い方まで(度を越して)制限するようになります。
モラハラ夫の恐ろしいところは、自分も妻に依存し妻に自分の世話をしてほしいと思っていますが、逆にモラハラによって妻に自分に依存させます。
自分に依存させることで妻が身動きできないようにするのです。
そのため、妻が家庭の外に出て行くことをとても嫌います。
妻が友達と出かけたり、親や兄弟たちと一緒にいること、働きに行くことなどを制限します。
妻が出かけたいというと「金の無駄遣いだ。お前は浪費家だ」といいます。
モラハラに経済DVが一緒になって起きているパターンもよくあります。
モラハラ共依存カップルの世界は狭い
モラハラ夫は妻を口悪しくののしり、罵倒し、尊厳を踏みにじりますが、それを妻は許します。
本心では許してはいないのですが、そうすることが自分の利益にもなるので心からそうしているように見せます。
「利益になる」
離婚して一人で生活していくことは不安です。
その不安から「この人のすること、言うことは本当にひどい。傷つく。もう一緒にいるのは嫌だ」と思いながらも一方で「この人がいなければわたしは生きていけない」と考えてしまうのです。
妻は行動や交友関係を制限されているため、自分が異常な状態に置かれていることに気が付きません。
「制限されている」というのは文字通り質、量ともに夫がコントロールしている場合や心理的にそうされている場合もあります。
妻が自分の友達と出かけた時など、みんなと一緒にいたいけど、自分は夫が帰宅するまでに家に帰らなければならないと考えてしまいます。
自分で自分に制限をかけてしまうのです。
そうでないと、夫が不機嫌になるからです。
共依存になる人には原因があった
共依存になる人には共通の背景がみられるといいます。
それは子供のころに親から必要な自己肯定感を得られなかったということです。
親はどんなに子供が努力してもそれを認めず、むしろ努力が足りなかったと言って非難します。
子供は親に褒めてもらいたくて、「自分のため」ではなく「親のため」に何かしら行うようになるのです。
親に絶対的な愛情をもらえなかった子供は、その「無条件の愛」を異性や配偶者に求めるようになるため、共依存の関係ができやすいと言われています。
もっとも「無条件の愛」など親子の間でもあるはずなどなく、その幻想を追い求めてしまうのが「共依存」の特徴ともいえるかもしれません。
モラハラ共依存になっている人の特徴
共依存に陥りやすい人は、誰かにいつも必要とされていたいという欲求が強いといわれています。
誰かに必要とされていること、誰かの役に立っているという実感を得ることに自分の存在意義を見出すことができるのです。
こうした特徴を持つ人は対人援助職に就くことが多いともいわれています。
モラハラ共依存に陥った夫婦は回復できるか
アルコール依存症の夫を持つ妻が本当に夫を回復させたいと思うなら。
夫がどんなにアルコールを飲んで醜態をさらすことになったとしても手助けしたり、尻拭いをしてはいけないそうです。
自分で自分の吐いたものを掃除し、散らかした床を片付け、迷惑をかけた人に「自分で」謝ること。回復の道はそこから始まるそうです。
モラハラについても同じことが言えます。
夫がしたことを妻が断固として許さないでいること。
夫がしたこと、言ったことで妻がどれほど傷つき悲しい思いをしたのかを訴え、その責任を取らせること。
そのことで夫が自分の間違いを認識し、回復する糸口となるかもしれません。
それも、あくまでも夫が「回復したい」と願うなら、ですが。
夫からのモラハラをやめさせ、対等な人間として付き合っていくことができるとしたらそれは、妻が夫を見切って家を出ることができた時から始まるのかもしれません。
モラハラをする夫と妻の共依存まとめ
夫は妻に依存しているため、妻に離婚を切り出されるとうろたえ、引き留めるかもしれません。
考え直してもう一度やり直そうというかもしれません。
それが本当に夫のためになるのか、もっと言えば一番大事なこと、「本当に自分の幸せになること」なのかを考えなければならないでしょう。
・モラハラをする夫とその妻は(逆の場合でも)共依存症に陥っていることがある
・共依存症とはお互いがお互いの存在に依存している状態であり、モラハラの場合それをやめさせることを難しくしている
・共依存症に陥る原因は子供のころの家庭環境に原因がある
・共依存症に陥りやすい人は誰かに必要とされたいと願っていることが多い
・夫がモラハラの依存から、妻が夫に依存している状態から抜け出すためにはその関係をいったん壊す必要がある
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